「名盤レコーディングから読み解くロックのウラ教科書(中村公輔)」2025/02/10
「名盤レコーディングから読み解くロックのウラ教科書(中村公輔)」読了。
本作の発売が2018年(後書きでは4月)、米津玄師のLemonが18年3月リリースだそうなのでギリギリ入り切らんかったんやな…と
ロックの歴史において、ミュージシャンを主体とした観点で見る音楽性の推移がオモテの歴史とするなら、本作は裏方のエンジニアリングから見るウラの歴史と言える。
過去の名盤の裏ではレコーディング/サウンド・エンジニアの技術・アイデアが大きく携わっていた!?的なキャッチコピーの、録音技術の視点からロック史を紐解いていく内容。
だいたいこんな流れ。
・生演奏を前提にしたクラシック・ジャズ
最初から整った音量バランス前提なので、LRマイクを適切に配置のみでOK
いわゆる(らしい)「フィル・スペクターサウンド(Wall Of Sound)」でのポップス・歌モノ収録
死ぬほどマイクを並べて演者を一同に集め、細かい位置調整のあと指示通りに演奏させる
各マイクが遠くの他の楽器も拾うので音に厚みが出る、が周波数の干渉で狙った音が全然出ないことも多いので調整するのが職人芸(だった)
→電気的な音の増幅有りきのバンド演奏、あくまで現在の音の加工・増幅
バンド形態というフットワークの軽さ、ビートルズのエンジニア選出するも「こんな音バンドじゃねえわ一過性で消えるわ」でベテラン技師は敬遠、19歳のジェフ・エメリック少年にお鉢が回る
若いので掟破りもポンポンやる、その実験的なレコーディング技術が時に成功し後のデファクトスタンダードになったりならなかったり ビートルズはエンジニア期で大分音が違う(らしいけど正直オラ分かんねえぞ!!)
→実空間では有りえないような空間的エフェクト(リヴァーブ)、サンプリング・打ち込み
→オルタナティブサウンドの到来、80年代のキラキラクリーン音への嫌厭・ドライなサウンドへ
→プロツールス到来、録音から編集・加工の時代へ
90~00年代の音圧戦争 ストリーミングによる音量調整(ノーマライゼーション)でケリがつく?(2024年現在まだ付いてなさそう)
全体的に洋楽ロック、のメインストリーム、の録音的な特徴を取り上げたもので、90年代以降はまぁそこまで、という内容だった(そこまで大きな変化が無かったのかもだが)。あと国内。
まずそもそも俺自身が洋ロックを大して知らんかったのでざっくり整理出来たのと、後は雑学も面白かったので良かったと思います(ジョイ・ディヴィジョンのレコーディングではバスドラを屋上に運んで録音したとか、「She's Lost Control」のシュッシュ鳴ってる音はスプレー缶で出してるとか、ドラムをパンの中央に置いて楽器を左右に振り分ける今風の定位は(概ね)ピンク・フロイドの「狂気」で定着したとか)
マルチトラックレコーダー(MTR)のトラック数が4(ドラム・ベース/ギター・鍵盤/コーラス・SE/ボーカル)だったのが8トラックに増加、別撮りの概念が生まれた→ビートルズ解散(の一因))では?という考察
日本 洋楽 ミックスの違い具体的に?(そのうち再読・追記)